元々帝国からの移住者と言うか亡命者たちが作った新しい国(ってか政府)が同盟なので、言語や文化に共通点が多いのは当然で、その辺で元々我々はひとつの同種のもの、と言う意識があってもおかしくはないんだけど、どうも設定的に、帝国はドイツ語、同盟は多分英語圏で、さらに同盟は明らかに異人種入り混じりの移民国家みたいだから、そこで共通語やブレンドして生まれた同盟文化と言うものに、次第に住民すべてが同化して行くと言うのは十分考えられる。で、そこで個人的に、ユリアンが、「ジュリアン(Julian)」と英語発音されず、帝国語発音に近いように発音されてるの、実はすごいことなんじゃなかろうかと思った。これは作者がどういう風に考えてその辺名前の発音を設定したのか分からないんだけど、例えばシェーンコップ先生は、自身が亡命者で帝国語が母語にも関わらず、名前の発音は英語寄りで、まあしかしみったんの名前がウォルフガングなので、この辺結構ごちゃ混ぜなんだよなあ(ヴォルフガングがドイツ語に近い)。だから何ってことなんだけど、この辺はユリアンが、主人公であるヤンさんに非情に近い立場にいて、ユリアン自身も主人公のひとりであると言うことで、存在を大事にされてる、と言う意味合いもあるのかなあと思ったりもする(つまり大変愛されてる。みったんが愛されてないとは言ってないよ。みったんもすごく愛されてるよ)。語り部であり、物語の主視線の持ち主として当然なんだろうけど、ユリアンはほんとうに特別な存在なんだあって思ったんだ。同じことで、ヤンさんが、姓名の順を自分の母語通りにしてるのもだなあと思う。これはヤンさんだけじゃなくて、姓名順のキャラはみんなそうなってるので、あの世界がそういうことなんだろうけど。そんなことをつらつら考えた。まあそれ言ったらコーネフさんも、イワンが恐らく彼の本来の名前に近い発音だろうけど、同盟共通語だろう英語発音にするとアイヴァンになるわけで、作中彼を名前で呼ぶ人はいない(よね?)ので、気にしなきゃいいんだけど、アイヴァンって呼び掛けられたりして、むっつり無視するコーネフさんとか想像しちゃうんだよ。ポプランは最初っから、コーネフさんの姓で、ああ露系かって判断して、イワンって呼び掛けたとかさー。それがコーネフさんがポプランを最初に割と気に入った理由だとかさー。DNTボロディンさんに関しては、実は住んでた地域が近くて、方言と言うか訛りと言うか、そういうの丸出しで懐かしげに話し掛けられたとかさー。すごくどうでもいいんだけど、母語と違う発音とか否定するとか受け入れるとか、意外と人によってこだわりがあるんじゃないかなあと思って。コーネフさんは結構頑固にこだわる方で、ユリアンは深く考えずにユリアンって名乗ってて、人がそれを尊重してくれるような、そういう空気を持つように育った子なんじゃないかなあと。ヤンさんは多分すごくそういうのどうでもいい人だと思う。ただ姓名の順は、あ!間違えた!!って人が焦るのが面白いと言うので特に逆だと説明もしないと言う天邪鬼じゃないかと思うけれども。ドイツ語の発音とか、「できるかそんなもん!!!」ってヤンさんがじゃないけど、ベレー帽を床に叩きつけたくなるので、正確に発音するのは非母語者には大変難しいと思われるが、それはそれとして、本来の発音を尊重して欲しいか、別にどうでもいいか、同盟語寄り発音で全然OKってかそっちで育ったんでそれでーってなるか、そういうのがキャラによって違うだろうなって思って楽しいなって、それだけ。ユリアンはやっぱり特別な存在なんだなあって思ったと言う話。
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