ヤンさんが他作品の同様のキャラと一線を画すのは、ヤンさんにほとんど少年らしさがない、あるいは作中でそういう部分は描写されないと言うことじゃないかと言う気がする。ここで言う少年らしさと言うのはいわゆる少年漫画で描かれるような少年らしさとか主人公らしさなんだけど、ヤンさんには、女性に対して意地悪をするとか、妙に残酷なことをするとか、自分の激情をやたらとぶつけてそれが受け入れられないとひどく傷つくとか、群れて何かいたずらっぽいことをするとか、この辺はシェーンコップ先生とかポプランとかが引き受けてる感じ。ラインハルトさまがベルばらな外見で中身が本宮ひろ志なのは、ある意味少年キャラの造形として大変分かりやすいと思う。ヤンさんって、ある意味少年と言うキャラ造形からはいちばん遠い人かもと思う。老成と言えばいちばん分かりやすいんだろうけど、まあぶっちゃけるととにかく何もかもめんどくさいと言う、体力と気力の低下がはっきり見える30代男性を何の装飾もなくと描くとこうなります、みたいな。そしてヤンさんのすごいところは、年金生活したいなーと言いつつ、一応それが単なる夢ではなくて、終戦になればそれは可能だし、ヤンさんなら終戦と言う状態に持って行けると言う現実がある作品であると言う、まあ銀英伝は世間でよく言う、奇跡の作品と呼ばれる類いのひとつだなあと思う。
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