ユリアンはきっと、自分だけのための、サイズのきちんと合った衣類と言うのは縁がなくて、ヤンさんと出会いたての頃は、ヤンさんもユリアンは必要な服とか持ってるからって特に気が回らなくて、冬になったら妙にぶかぶかのブーツに、襟とか肩がきつそうなコートに、手袋はどう見ても両方揃ってなくて、そこでやっとユリアンが、持ってる服は基本全部寄付かお下がりだって気づいて、慌てて冬服ひと揃い買いに行くんだよ。自分では分からないから、お店の人に、「この子に合う服をひと揃い下さい」って。そして手袋とマフラーも。ぶ厚い靴下も。帽子も。「おまえに風邪を引かれると困るからね」ってそう言うヤンさんの冬のコートは多分タイロンさんのお下がりか、士官学校の最終年に支給されたヤツだったりして。
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