書いても書いても本が売れない歴史学者のヤンさん、売れたら大学の講師(受講生が大変少なくてキャンセルされる目前)なんか辞めて、本だけ読んで過ごせるのにーと言う念を感じ取って現れる悪魔のシェーンコップ先生。貴方の望みをかなえて差し上げましょう、代わりに貴方の魂をとかありがちなことを言うけど、「いや、死ぬほど売れたいわけじゃないから別にいいよ、大学辞められるくらいに売れたら」(そんなコントロールができるか!)とか往生際の悪いことを抜かすヤンさんに、とりあえずお試しでちょっと売れるように仕向けてくれる優しい悪魔シェーンコップ先生。月の生活費くらいの印税が入って、わーほんとに売れたーって喜ぶヤンさんが、なにかお礼をしなきゃだねってうっかり言ったら、じゃあ魂まるごとじゃなくて、まあちょっと貴方の生気をって、あーだこーだ。そしたら何か妙に味がいいと言うか徳が高いと言うか、「貴方前世一体何者だったんですか」って悪魔に訊かれて、知らないよそんなのと戸惑うヤンさん。後で、後世で聖人呼ばわりになる、偉大な超有能軍人で、戦争を終わらせた功績でさくっと退役して悠々自適年金生活を送りつつ、「次に生まれ変わったら最初っから平和な世で戦争のことなんか考えずに、大学で教えるとか本書くとかしたいなあ」と言う夢がかなっての現世。「なんだ、ついでに金に不自由しないって願ってくれたら良かったのに」と前世の自分のことを愚痴る現世ヤンさん。「仕方がありませんな、こんな徳の高い魂、他のタチの悪い悪魔に目をつけられたら大変ですから、私が貴方を護りましょう。お礼は貴方の生気をいただければそれで結構」とか言い出して、実質結婚します。わたしたち幸せになります。オチはない。
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