たとえばだけど、割りと問題ありの母親経由で知り合った男に、彼女の息子である、15歳くらいの、もしかすると自分はゲイかもしれないって悩んでる少年が何となく懐いて、男を安全な存在と見て性的な実験的に迫ったりするとか何かそういうので、男の方は自分がゲイとか思ったこともないどのつくヘテロなんだけど、少年が何しろこの年頃で、男とも女ともつかない存在でくらくらしちゃうし、しかも男の子だから大丈夫だよね?って根拠のない自信もあって、さらに、「ゲイって悩んでる男の子に迫られちゃうオレモテモテ困っちゃうー☆」みたいなありがちなのもあって、何かそういうことになっちゃって、寝たりはしないんだけど、キスしたり相互自慰辺りへ進んだり、男側は場合によっては問答無用に犯罪(が、ふたりの認識では、男がどうのよりも、少年の方が明らかに積極的に誘ってると言うか、襲い攻めのノリ。が、もちろん法的に問題にされるのは、理性を飛ばしてしまった成人の方)なので、当然秘密にはしてるし、周囲は男をヘテロと思ってるので、仲良しだねくらいにしか思ってない。まあ、少年の方は男が他の女性を目で追ったり、自分に対して「女の子とデートしてみたら?」みたいな、(ヘテロ男の、独特無意識上から目線の)アドバイスに辟易し始めて、性的な関係を、思春期にありがちにカッケーとか思ったりもしたけど、自分が欲しいのは、きちんとした思いやりあるセックスを含めた対等な人間関係(つまり恋愛)なんだなって気づいて、同年代くらいの少年と、プラトニックから始めた恋愛関係を築き始める。男の方へはまあ疎遠にしつつ、そうなると男の方はええ?ってなって、少年にすがりつき始めたりする。オレの方がいいに決まってる!!でもオレはゲイじゃないけどな!!って言う態度丸出しで。少年は残念ながら男のそういう態度に嫌悪丸出しになって行って、男の方は最終的にボロクズみたいに捨てられる羽目になる(俺が警察に行ったら、アンタ逮捕されるんだよ、分かってる?みたいな脅しすら使う羽目になる)。特にオチはないんだけど、その後、やっと男は少年のことを一時の所有欲で支配したかっただけ的な感じに冷静になって理解して(大人だしね)、女性の恋人も新たにできて、じゃあ結婚しようか、子どもも欲しいねみたいな話をしてるところに、すっかり大人になった例の少年を見掛けて、彼が恋人らしい、同年代の青年と手を繋いで歩いてるところを見掛けて、「・・・良かった」って思って、思わず微笑みながら涙ぐんだりして、恋人の女性が、「どうしたの?」って訊いたら、「大切な人と寄り添えるってのは、素晴らしいことだなって思ってね」みたいなことを素直に口にする。彼女は当然、自分たちのことを言ってるんだと思って、ちょっと感動して彼にキスしたりする。彼の方は、もちろん自分たちのことを言ってもいるんだけど、当然ながら例の少年(と彼の今現在の恋人らしき青年とのこと)のことも含めてて、あの時自分のエゴで彼を引き留めようとしなくてよかった、彼のためにも、自分のためにも、ってしみじみ思う、みたいな、何かそういう。それだけ。
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