ラインハルトさまの孤独と言うのは、同質のものに馴染めない、そこから弾かれてしまった(貧乏で身分が低い等)と言う結果ではないかと思うんだけど、ヤンさんの孤独と言うのは、何かとにかく自分と同質のものが傍らにいたことがない、と言うことではないかと言う気がする。ラインハルトさまは割りと明確に自分の孤独の理由を自覚して、でもまあその孤独に飲み込まれてねじ曲がると言うことも特になく、粗暴で攻撃的と言う点以外は、基本とても健やかな人だなあと思う。ヤンさんは恐らく、商船を下りて士官学校に入る羽目になって、そこで初めて自分がどこにもはまらない存在であることに気づいて、で、すでに孤独が友が当たり前だったので、なんだそっかーって思って相変わらず本が友達で(人間の友達もできたけど)、それで別に不自由も癒せない淋しさと言うものもなくて、自分はこういう人間なんであると言うことを早々と自覚しちゃったと言うか・・・それはただそういうことであると言うので、別に修正する必要も感じず、そこで逆に、今度はひとり(私人)になれない、常に誰かが自分にアクセスできる状況である(公人)と言う辺りに、我慢はできるレベルだけれど、時々猛烈にひとりになりたい、ひとりにしてくれ、みたいな欲求があったんじゃないかと思ったりする。それが色々こじれた風になる前に寿命が来てしまったので、だからどうと言うことはないんだけど、ラインハルトさまは、あの攻撃性は多分年齢を重ねるほど悪化したろうし、皇帝になってそこで戦争がなくなってしまったら、ストレスが国民や身近にいる人間に向いたかもと思ったりして、そうなると、みんなの記憶が素晴らしく美しい時に逝ってしまったと言うのは、何かやっぱり定められたタイミングだったんだなあと思ったり。それはヤンさんも然り。なんてことを突然意味なく、根拠なく思った。
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