キリコと言うのは、ものすごく「ごくごく普通の人間」(異能生存体が普通?ってのは置いておいて)ってところがミソなんじゃないかなあと思う。自分が特殊な存在であることを自覚しつつも、それをやたら誇ることも卑下することもなく、「ああそうか」ってだけで済ませて、背が高いとか髪が黒いとかってレベルの個性のひとつ程度のこととして捉えてて、そして普通の人間だからこそ、「人は生まれる時も死ぬ時もひとりで、結局のところは個として孤独であることはごく当たり前のこと」と言う辺りを、無意識に体現してると言うのか。PFで、分隊の面々が不死に近いらしいことを「おれたちスゲー!」みたいな感じに言ってたけど、その辺りの異能生存体であるキリコとの対比がまた何かすごい。吉川御大は映像畑なので、そういうのは当然なのかもだけど、吉川御大の小説ってすごい構成が映画的って言うか、そういう対比とか演出とかがはっきりしててすごいなあって思う。キリコがキリコである所以と言うのは、「孤独」のひと言に尽きるような気がする。キリコが普通の人間だからこそ、最後の最後で武装解除してすべてから逃げることを選んで、あの展開の深遠さは何かもう哲学レベルだと思う。キリコは主義思想が一切ない(少なくとも主張したりしない)ところがたまらなく「ボトムズと言う物語の主人公であるキリコ」だなあと思う。そしてそのキリコに養子取らせるって一体どんな展開だよ!続編はよ!(バンバン
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