DNT楊さん(いや他ヤンさんもだけど)、士官学校に手ぶらで入学したって言うの、まあ本当は寮には持ち込まなかっただけで、倉庫に預けてた荷物が少しはあったんだろうと思うんだけど、何となくその中にはアルバムとか写真の類いはほとんどなかったんじゃなかろうかと思ってる。ラップさんとジェシカさんと一緒に写ってる写真は、あれはふたりが当然のように焼き増し(って言うのかな)して楊さんにもくれて、え?オレにもくれるの?もらっていいの?って言う感じで、楊さんにとっては人から与えられた自分を含めた記録(思い出)と言う、割りと珍しい事態だったんじゃなかろうかと。ジェシカさんとラップさんは何かあると写真撮るのがごく普通で、楊さんはへーそうなんだーみたいな感じで、楊さん自身は特に頓着してなくて、でも後で集まった時に写真見せ合って、これ欲しいから焼き増ししてとか頼むのを見て、ああそういうものなんだ、みたいな。その写真も、楊さん自身は自分で欲しいってなかなか言えなくて(慣れてないから)、ラップさんは当然みたいに全部楊さんに渡して来るし、ジェシカさんもそうだし、そういう、このふたりが取った自分を含んだ思い出と言うのがどんどん増えて、そういう意味でも、楊さんにとってはこのふたりとの思い出は特別だったんじゃないかなあと。ちゃんと、思い出としてそこに繋ぎ止められてると言う意味で。楊さんにとって記録とか記憶と言うのは文章メインで、映像とか画像とか言うものは含まれてなかったと言うような。代わりに多分日記みたいなのはつけてて、この写真いつのだっけってラップさんが訊くと、楊さんが自分の日記をめくって、「何月何日何した日」って答えるとかさ。そういう、記憶の仕方が違う3人が、それぞれ記録を大事にしてたと言うような。
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