身も蓋もない言い方をすれば、GA伝は男の夢と理想が詰め込まれた物語だと思うんだけれども、女をただの生殖の手段にして、その生殖の結果を男だけの繋がりの術にする。で、育児は女の仕事。養子のユリアンは、育児部分はヤンは一切関わらず、すでに自分の言葉を解して、自分の世話をしてくれる程度に育ったところで引き取るタイミングになる。自分の世話をしてくれて、自分の言葉に素直にすごーいとお世辞でない敬意を払ってくれて、しかも自分に心酔してくれる。男の理想の"配偶者"だよねこれ。異性愛全面(ボトムズ見てると余計に)に思えつつ、それが大体崩壊してる関係ばっかりなので、逆にそう見せておいて男性同士の、性愛を通さない繋がりの模索、と言う風に見える。その辺が、知性と理性の上に描かれてるので、自分としては不快感とか嫌悪はなく、いっそ突き抜け方が清々しいと思って見てしまうんだけれども。女が蔑ろにされてると言うのではなくて、男が男同士で繋がろうとしたら、女は生殖のみの存在になるのが当たり前、と言うだけの話と言うか。彼らはそもそも女に関心はあるかもだけど興味はないのだし。それを無理に興味がある風に描かれる方が多分不快と思われる。そういう意味では、赤ん坊を引き取って、どうやら自分で育てるつもりらしいキリコと言うのは、やっぱり凄いなと思った。女性をほぼ出さないボトムズの方が、そういう意味では男女の性愛を、人間関係のひとつとしてちゃんと描いてる気がするよ。
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