ペキリで読書の時間。高級将校のくせに、車輪の下とか実は愛読書なよったんとか。意外と自分の恵まれた立場に、特にキリコに出会って以来コンプレックスをより強く感じるようになったとかそんな。絶対表には出さないけど。キリコは文学とかは、疎い以前に、「AT乗るのに必要ない」とかぶった切ってそうだしなあ。「基地に持ち込める私物は限られてる」ってのが理由で、本なんて真っ先に置いてく羽目になるとかね。そんなキリコに、よったんは色々本の話をするといい。キリコに短編の小説とか渡して、夜寝る前の睡眠薬代わりに読んでみるといいとか勧めるとかね。そのうち、一緒にいる時に別々の本を読むようになったり、よったんが読んでる本に興味を持ち始めたり、よったんに、時々朗読をせがんでみるとかそんな。で、いずれは、そろそろ視力の衰えで読書を楽しめなくなりつつあるよったんのために、キリコが本を読んであげるとかね。よったんは多分すごく実は朗読とかうまい(だって周夫たんだもの)んだけど、キリコはあの調子の棒読み一本調子で、でもそれが余計に、詩とか小説の情感を高めてて、それを不思議に思いながら、キリコに本を読んでもらうのをすごく楽しんでるといいと思うよったん。
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