こいつにとってボトムズは、冷血な人殺し戦争機械がふたり出会って、そこでもっと冷血になる予定(よったん的に)が、生まれてしまったのが愛で、求めて育まれたのが人らしさだったって言う、この上ないくらい希望の物語なわけで。あの暗さと虚しさに埋もれるからこそ際立つ希望、みたいな。だから、最後にキリコが永遠に眠ることを選んだのは、まさしくキリコらしい希望の表現なんだなあと思う。戦争機械が武装解除して、誰にも利用されないために永遠に眠る、と言うのは、キリコと言う「ただの人(になった"元"戦争機械の神の元後継者)」にできる精一杯だったんだろうなと思う。あそこで大きなことをやらかすぜ、とかそういう展開にならなかったことこそ、最高に(ただの人である)キリコらしいなあと思う。キリコはあくまで、ごくごく普通の人なんだなあって、あの最終回を思い返して思ったりする。周囲がどれだけ特別で異なった人間なんだって言っても、キリコは結局、「普通の人間ができる精一杯」にとどまったところが、ボトムズらしいなあと思う。
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