シェーンコップ先生のあのコミュ力の高さは、帝国から亡命して来て、異文化の中で謗られながら、蔑まれながらの中で、生き残りのために身につけるしかなかったゆえだよなあ。マイノリティーは、常にマジョリティーの顔色とご機嫌窺いつつ、どこにあるか絶対に分からない地雷を避けつつ生きるしかない、と言うのが見えて、ちょっと切ない。そういう人が、そのマジョリティーを見下す態度を隠さず、その見下しにはまたちゃんと理由も根拠もあって、シェーンコップ先生の偏見や無知によるものではないと言う辺り、穏やかに育って来たわけじゃないし、そしてそれに溺れて底辺でのたれ死ぬような人生も絶対に選ばなかったと言う、彼の意志の強さと意識の高さの垣間見える、キャラ造形の見事さよ・・・。ヤンさんはまるっきり真逆に、マイノリティーですがなにかー?みたいな、良くも悪くも自分に対するアレやらコレやら受け取ることは一切せずに、ふーへーほーで受け流して、おかげで悪意の中にいてもそれで自分の中がいっぱいになると言うことはなくて、そんなん考えてる暇あったら好きな本読むわー読書以外の時間が惜しいわーと言う、ものすごく上手く傷つくことを避けて、おかげで悪い方にねじれることもなくて、シェーンコップ先生と違うのは、外見的に無害で、関心も持たれないので、自分が無関心と同じくらい、大体の人はヤンさんに悪意を向けるほどの関心も持たないと言う。なので無関心同士関わりなく、おかげでヤンさんは心安らかに読書に没頭できると。ヤンさんのさらなる幸運は、年上スキーのところに、一部の年上が何だか保護欲そそられてヤンさんの面倒を、黙っても見ててくれるって言う。ヤンさんもシェーンコップ先生も同盟ではマイノリティーなんだけど、状況がまるっきり違う。シェーンコップ先生がヤンさんに魅かれたのは、ヤンさんが同盟の人とは言っても、地面に足をつけた記憶が薄くて、同盟と言う土地に対する帰属感が薄いせいかもと思ったりもした。同盟と言う存在の、主義主張には同意するが、同盟と言う場所には特に頓着はない、と言うヤンさんと、同盟にも帝国にも祖国と言う親しみはないシェーンコップ先生と、その辺の共通項と言うか、何となく通じる、みたいなところがあったのかなあとか、まあ色々。
|