まあ、作戦を考えた当初は、どの程度の被害が出るとか予想はしてても結果として予想外と言うのはあることなので、まあそういうものと思っても、つまりキルヒアイスひとりの死が、ラインハルトさまにとってはヴェスターラントと同盟のスタジアム虐殺以上にショックと言うことなんだよな・・・。これはアレだ、戦争における戦闘と言うのは(大して)トラウマの原因にならないが、仲間が死んだと言うのがいちばんのトラウマだった、と言う元戦闘員の証言と一致するって言うな・・・。いや我々みんな、わざわざ言わないだけで分かってるけどさ。戦下の虐殺と言うのは、ラインハルトさまが公人として命令を下した(見て見ぬ振りをした)結果で、そしてキルヒアイスの死に直面してるのは私人であるラインハルトさまなんだよな。いやうん、分かってるんだけど、もちろんそうなんだけど、改めて数字とか並べて比較されると、そうか・・・みたいな。最小限の被害で最大数を救うと言うのは公人の言い草であって、それを受け入れた同じ口で、キルヒアイスの死を嘆くことになると言う、ラインハルトさまにはこれ最大の罰だよね。何かうん、ラインハルトさま、子どもじゃん。この間やっと少年から抜け出しましたって年齢で、下手すると選挙権もないじゃん。お酒も飲めないじゃん。それなのに国ひとつ背負って、200万人の自国民を即死消滅させる力を持って、それを、これからはひとりで耐えて行くわけじゃん。ここでキルヒアイス退場は、ほんとうに、ラインハルトさまにとってはこれからひとりで生きて行くと言うのと同じくらい重い罰だよね。
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