柳原くんは、まだ医者になりたいと思い始めた時の五郎くんで、そしてずっと最初から同じ心を持ち続けてる里見先生ハイブリッドなんだなあ。ふたりの子ども(何か言った)。2019年版は話数が少なかったせいか、五郎ちゃんがやたら小突き回されてた印象なんだけど、2003年版はまだ五郎くんが自分の思う通りに動いてる場面が多くて、おまえらに踏みつけにされて黙っててやるもんか!!!と言う、成り上がり者の矜持と言うのが静かに表現されてるなあと思う。2019年五郎ちゃんは、みんながオレのところに「抱いてくれ!!」って来るけど、オレはおまえに抱かれたいんだ里見!!!って感じで、2003年五郎くんは、花魁とかお高く止まってても、所詮金積まれたら黙って抱かれるしかない娼婦、と言う感じ。2019年五郎ちゃんは攻め役を求められて辟易してる受けなんだけど、2003年五郎くんは男社会で女性性をなすりつけられてる下層男性が、嬲られ続けてるのから逃れようって必死になってる感。唐沢氏は、ナイーブな青年と言う印象が強かったせいか(80年代以降の彼をまったく知らないので)、2003年五郎くんの、静かな凄みにちょっとうろたえている。個人的に、女性作家が書いたと言う点を鑑みて、2003年版が演出と脚本から読み取れるものが原作にいちばん近いんじゃなかろうかと勝手に思ってる。と言うことで、2003年五郎くんに、キリコとボトムズを感じているのであった。
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